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お釈迦様の教え、日蓮聖人の教え(2010年)

春季彼岸会法話要旨

寺報『石蕗(つわぶき)』のシリーズ「お釈迦様の教え、日蓮聖人の教え」より
第17号:「求められている姿」

教え(2009年)
教え(2008年)
教え(2007年)
教え(2006年)
教え(2006年以前)



身近な人を亡くしたあなたへ



…秋のお彼岸…

 昨年秋のお彼岸の法話は、戸澤宗充上人。琵琶の弾き語りなど、大変好評を頂きました。

 好評であったと同時に、「『サンガ天城』のことをもっと話して欲しかった」という要望も頂戴しております。よって、今秋は再度戸澤宗充上人にご登場頂き、『サンガ天城』の現状やそこに関わる方々について、お話し頂く予定です。お楽しみに。


…懇親旅行…

 お楽しみに、といえば、懇親旅行。これを話題にしようと思いましたが、先ほど御前様がお話し下さったので、省略します(会場笑)。


…お葬式…

***葬儀社の選び方***

 さて、支度をしておいた方が良いのに、一番おいてけぼりになりがちなのがお葬式。

 ある調査では、喪主を務めた人の8割が某かの不満を抱いたとか。

 葬儀にかかる費用の平均はいくらだと思いますか。いろいろな調査(日本消費者協会「葬儀についてのアンケート調査」第6回〜第8回など)を踏まえると、新潟を含む北陸地方の平均が約210万円とか。

 そこからお布施を除いても大層な額です。それだけの支払いをする葬儀社ですが、「事前に決めておく」という方は、なかなかいらっしゃいません。ここで、早めの検討をおすすめ申し上げます。

 この辺りではそのようなことはないでしょうが、中には悪質な葬儀社もおります。例えば…、

・実際には利用者がいない割高な非会員価格を表示して会員価格と比較し、会員価格が安くて有利であると思わせているもの
・葬儀業は国の認可事業ではないにもかかわらず、「経済産業大臣認可事業」と表示、また、中小企業等協同組合法に基づく経済産業大臣認可を葬儀業の認可と消費者が誤認するような表示を行っているもの
(総務省「葬祭業の取引の適正化に関する調査の結果」平成19年10月15日)

  「よくわからないけど…」ではなく、納得するまで聞くことが大切なのです。それには、事前に探さねばなりません。

 それは、同時に家族と十分に話し合うことにもなります。これもまた、大切なのです。

 お元気なうちに数社見て回ることをお薦めいたします。

 その際の注意点は…、
・業者の言うことを鵜呑みにしない
・「紹介センター」「紹介所」は、自分の会社を紹介することもある(全ての「紹介センター」などがそうでは もちろん ありません)
・互助会は、解約の手続きについてよくしらべる

***お葬式で一番大事なこと***

 色々申し上げましたが、その「お葬式」で一番大事なことは何でしょうか。

 佛教の教えの根幹である「こだわらない」「執着しない」を踏まえれば、「亡き人を忘れること」となりますが、ここは敢えて、「あなたを忘れない」としたい。

・ 『悼む人』(第140回直木賞受賞)は何の関わりもない人をひたすら悼んでいく少年が主人公の物語
・『示談交渉人M』では、敵対するヤクザの組長が死に際に「命って…なんだ…?」と主人公に問います。主人公はこう答えました。「死ぬことは命の消滅じゃない…アンタの命は…オレが背負う」
・「別離は切ないが、つかの間の記憶でも、人の胸の中に誰かが消えずにいることは素晴らしいものだ。」と伊集院静氏は、随筆に書きます(『トランヴェール』10年3月号)
・葬儀コンサルタント木野島光美氏は、フジテレビ『エチカの鏡』特集「夫が亡くなった時あなたがしなければならない25のこと」で、最後の25番目を「故人を想い続けること」としました

 少なくとも現代日本では、「忘れない」ということが 受け入れられやすいようです。

 ただ、最終的に行き着いてもらいたい先は、「振り回されない、でも、忘れない」の境地。一見矛盾しますが「忘れる」に通じることです。

 (必要な時間は各自違いましょうが)悲しみつづけ、そして徐々に落ち着き=その人が存在しないこの世を受け入れられるようになる。その覚悟を、元気なうちにしておいて頂きたいのです。


…日蓮聖人のお言葉…

 日蓮聖人は、「先(まづ)臨終の事を習(なら)ふて後(のち)に他事(たじ)を習ふべし」(『妙法尼御前御返事』)と仰っております。2年半前にもこの場で紹介したので覚えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 ぜひとも、ご自身やご家族とのこの世でのお別れについて、考えてみて下さい。


…お釈迦様のお言葉…

 妙法蓮華経勧持品第十三には、「我等佛の滅後に於いて 当にこの経典を奉持し読誦し説きたてまつるべし(我等於仏滅後 当奉持読誦 説此経典)」とあります。

 これは、薬王菩薩と大楽説菩薩が、お釈迦様に「お釈迦様が入滅された後、法華経を弘めます」と誓っている部分です。この言葉を聞いた時のお釈迦様のお気持ちを、想像できるのではないでしょうか。

 お題目・法華経を信仰することによって、佛教徒としての自覚を持ち、この世で佛になる=安らかな境地を得ることをお願いし、解説の行とさせて頂きます。ご聴聞おつかれさまでした。
平成22(2010)年春季彼岸会法話より
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求められている姿



 「花を見て喜ぶよりも、花を咲かせて人を喜ばせたい」

 今の世の中、全て自分中心に考え行動している人が多くなっています。自分中心ということは、他人の痛みがわからないと言うことです。この為、暮らしにくい世の中になってきています。

 今こそ我々一人一人が「人に喜んでもらう為に花を育て咲かせる」という心を持つ自覚が必要といえます。

 先般、あるテレビ局の番組に脳神経外科医の福島孝徳さんという方が出演されていました。この方は脳手術の中でも特に難しいとされる手術をされる方で、外国でも多くの手術を行っておられます。

 福島さんは番組の最後に次のように言われました。「一日も休まず人を救いたい。従ってゴルフに行っても、その時間がもったいなく感じる。その時間に手術すれば何人もの人が助かる」と。

 この姿こそ、今我々に一番求められていることだと思います。
寺報『石蕗(つわぶき)』第17号より
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