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お釈迦様の教え、日蓮聖人の教え(2008年)

お会式法話要旨
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教え(2006年)
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少欲知足



 『知覧特別攻撃隊』(村永薫編)を御紹介します。これは、特別攻撃隊(いわゆる「特攻隊」)の隊員が書いた遺書を、まとめた書籍です。そのうちの一通を御紹介致します。
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遺言
 驕敵今や本土に迫るの時之を撃滅せんが為出発するの朝御両親様を始とし家郷の皆様に一筆申し上げます。
 海より深く山よりも高き御恩により、幸福な一生を送ることができましたことを深く感謝致して居ります。
 今斯うして出発して行きますのはその御恩返しであります。日本人として之こそ最上の御恩返しと信じて居ります。
 私の一生はほんとに幸福であったとつくづく感じられます。特に昭和十四年五月二十二日畏くも宮城前にて学徒に御親閲を賜り代表としてその栄に浴しましたことは、忘れるとも忘れ得ぬ感激であります。今も脳裏にあの時の感激が刻まれて居ります。
 その他一つ一つを挙げる迄もなく、唯誰よりも幸福であったと考えるとき、唯感謝あるのみであります。今は唯思い残すこともありません。親切にして下さった方々に一一挨拶もできませんが、必ずや立派な死に方をして行くつもりであります。
 御両親様、決して人前では泣いて下さいますな。
 今から出発致します。
                                 平一
御両親様
家内御一同様

今西修(少尉 誠第三二飛行隊 昭和20年3月27日出撃戦死 19歳)
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 日本人の純粋な気持ちがここに表れているのではないでしょうか。この精神構造を今の人たちがなくしてしまったから、こういう世の中になってしまったと思います。

 中越沖地震から一年三ヶ月が経ちました。大きな被害を出した災害ではありますが、私たちは、ここから何を感じなければならないでしょうか。
 それは、自然への畏れ、「生かさせてもらっている」という気持ちに他なりません。
 佛教では、人間は自然の一員と教えます。虫も植物も自然の一員として大切にしてきました。昔は木を切る前にお酒をかけお祓いしてから切ったものです。今は、「木は木だ」と勝手に切ってしまいます。感謝の気持ち、「生かされている」という気持ち、「自然の一員である」という気持ち…がなくなっているのです。ぜひとも、思い出して頂きたい。

 自然で言えば地球温暖化、経済で言えば金融不安など、安閑としていられない世の中です。円高が進むと輸出業者は莫大な損失を被ります。地球が危ない、経済が危ない、人間が危ないのです。
 本当は私も楽しい話しや笑える話しがしたいのですが、そうできません。…だから、私の話は「暗い」と陰で言われるわけですが…(笑)。今日は時間も少ないので本題に戻ります(笑)。

 地球温暖化によって…、
・梅雨の時期が長くなり、それが定着する
・いままで日本では症例のなかった熱帯病が上陸する
・海水位上昇に伴い、サンゴで出来た島では真水が得られなくなる
・気温上昇に伴い、コシヒカリの味が落ちる。このままでは北海道で作るコシヒカリがおいしくなる
と言われています。特に、お米については、地元の米作農家の方に聞いた話ですので、信憑性は高いです。これらのことに、あまり実感はないでしょう。しかし、少しずつですが確実に影響がでるのです。

 その対策として二酸化炭素の削減が挙げられます。とは言え、なかなか実行できないのが現実です。まさか、息を止めるわけには行きませんし…。一人一人が真剣に考えなければならない時が来ているのです。

 では、どうすればいいのか。その心構えが法華経に書かれています。『普賢菩薩勧発品(ふげんぼさつかんぼっぽん)第二十八』という法華経最終章です。そこに、「少欲知足」とあります。これは「欲少なくして足るを知る」、即ち「欲望を抑えることで、満足を得る」ということです。これしかありません。

 我々は、つい あれこれと色々な物を買ってしまいます。「○○が手に入ったら△△。その次は□□…」と際限がありません。それではダメで、本当に必要なものだけを手に入れ、満足すべきなのです。
 「買うこと自体で欲望を満たし、買った物は脇に置いておく。また、次のものが欲しくなる」ではダメです。くり返して言いますが、「欲少なくして足るを知る」です。

 ではそれを実行するにはどうしたらよいか。「自分は優しい人(人間、日本人)である」と自覚することです。

 明治23年、紀伊半島沖で難破したトルコ船舶の乗組員を、地元の人々は懸命に助けました。これこそ、日本人の本質なのです。

 実は、これには後日談があります。
 イラン・イラク戦争の時です。1985年のある日、イラクは、イラン上空を飛ぶ飛行機を無差別に攻撃すると発表します。その実行は発表の48時間後。当然、イラン国内に住む外国人は脱出を試みます。ところが、当時の日本は救援機を向かわせることが出来ませんでした。他国は、それぞれ自国民を脱出させるのに精一杯で、日本人のことまで面倒見てくれません。
 ところが一国だけ、わざわざ日本人のために脱出機を用意してくれた国がありました。そう、トルコです。彼国は、明治23年の出来事を忘れずにいてくれたのです。今の日本人が忘れてしまった「恩義」をトルコの人々が持っていたのです。

 「恩義」を忘れずに、「少欲知足」であること。そして、これを弘めること。これがまさに、日蓮聖人の仰る「汝早く信仰の寸心を改めて、速かに実乗の一善に帰せよ。」の実現なのです。

 「『南無妙法蓮華経』と唱えているけど、何も変わらない」と仰る方がいます。変わっている御自身に気づいていないと言うこともありますが、ただ、お唱えするだけでなく、行動にも移して頂きたい。お題目を唱えるということは、足るを知ること、理解して実践することを決意表明することなのです。これこそが信仰です。

 以前にもお話し申し上げました。「花を見て喜ぶよりも、花を咲かせて人を喜ばせたい」。これです。相手に対する思いやり。みんながそう思えば、世の中は変わります。

 人は、心からお礼を言われることが一番心に響くように出来ています。そこに気づけば、心安らかに暮らせるのです。

 早く終わると申し上げましたから、約束通り早く終わりますが、
・少欲知足
・花を咲かせる人になる
どうか、この二つのことを、今日はお持ち帰り下さい。
平成20(2008)年お会式法話より
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お布施とは



…宣伝 その1…

 今月一日から、映画明日への遺言が公開されています。法華経精神を持った軍人 岡田資中将に焦点を当てたもので、宗門あげて応援している映画です。本堂内に掲示してあるポスターも御覧下さい。いまイチオシの映画です。

 なお、奨励金など特別に何かを頂いていると言うことは 一切ありませんので、念のため(笑)。

 また、主演の藤田まことさん。この方と言えば 中村主水、中村主水と言えば 「むこどのっ!」。ですから、私は藤田まことさんに親しみを感じて仕方ありません(笑)。


…宣伝 その2…

 檀信徒用肩章(たすき)が できあがりました。

檀信徒用肩章(たすき)

 さきほどのお経の際は ほとんどの方がかけてらっしゃいましたが、お経中だけではなく お参りのときは ずーっとかけたままでも結構です。
 製作を依頼する衣屋さんを変えたため、
  ・機械縫い→手縫い
  ・ポリエステル地→正絹地
  ・印刷→染め
と変更になりました。

 だいぶ良くなりましたが、値段も良くなってしまいました(笑)。実費3,300円になります。かつての2,600円と比べると 結果的に2割以上も値が上がってしまい 誠に恐縮ですが、御理解頂ければ幸いです。
 なお、これも実費でして、手数料などは一切頂いておりません(笑)。


…賞味期限?消費期限?…

 先日、仕事しながら おせんべいを一枚、頂きました。頂いてみると どうも堅い。せんべいだから堅いのも当然 と気にせず全部頂きました。ふと おせんべいの入っていた箱を見てびっくり!なんと賞味期限が2年前に切れていたのです(笑)。

 ところで、「賞味期限」と「消費期限」どう違うか御存知ですか。
 「賞味期限」は、「おいしく食べられる期限」です。「消費期限」は、「安心して食べられる期限」です。おおむね5日前後を境として、それより早く傷む物は「消費期限」、そうでない 比較的長くもつ物は「賞味期限」としています。


…辞書の性質…

 もう少し言葉について考えます。「全然大丈夫」――この表現、気になる方いらっしゃいませんか。
 実は、「全然」と言う言葉は、あとに否定を伴うのが本義です。 例えば、「全然寒くない」「全然食べたくない」など。しかし、多くの人がこのような肯定表現にも用いていることも事実です。そのため、これを間違いと明記しない辞書も存在します。

 いえ、そもそも辞書というのは、「多くの人がどういう使い方をしているか」を大切にしており、言葉の本義については、あまりこだわりません。言葉が生きている =時代によって言葉の使われ方が変わる=から、というのがその理由のようです。

 こういった特徴を持つ辞書に、「僧に読経などの謝礼として渡す、金銭や品物。」とあります。これは何の言葉を説明した文章でしょうか。
 正解は「布施」です。では、この文章、「布施」の本義について説明したものでしょうか。
 答は「否」です。法事や月参りでお経を唱えて頂いたあと、お坊さんにお渡しする「お布施」は、お経の代金ではありません。
 辞書に書かれてしまうほど、間違いが一般的になってしまったことを、我々僧侶は反省せねばなりませんが。


…表記…

 「夜露死苦」…なんて読むかわかりますか。
 そう、「よろしく」です。では、「愛羅武勇」は。
 はい、「アイ・ラブ・ユー」です。思春期の多感なお兄さんお姉さんが好んで使う表現(当て字)ですが、実は彼らの専売特許ではありません。

 かつて中国では、外来語を取り入れる際、当て字を頻繁に用いていました。
 例えば「三昧」です。さきほど みなさんも 読まれた『方便品左はPDFファイルです』に「爾時世尊従三昧…」とありました。梵語の「サマディー」の当て字です。「昧」が三つあるわけではありません。
 他には「舎利弗」。お釈迦様のお弟子さん「シャーリプトラ」の当て字です。これもやはり『方便品左はPDFファイルです』に しかも幾度もでてきますので、身近な言葉でしょう。
 さらには、「娑婆」。「サハー」の当て字で「堪え忍ぶところ」という意味があります。いずれも、漢字の意味は関係ありません。

 少し話しがずれますが、現代中国では 意味を考えて言葉を作り出しています。
 「電脳」。どういう意味か分かりますか。
 「コンピュータ」です。では、「電視」は。
 「テレビ」です。

 外来語はここまでです。これらのことを調べていた時 見つけた「日本人が勘違いしやすい中国語」を紹介致します。
 「手紙」は。
 なんと、「トイレットペーパー」なんです。日本語の「手紙」に対応する中国語は「信」です。日本でも「信書」と言いますから、聞いて納得 と言うところではないでしょうか。
 最後、「老婆」。隣に座っていらっしゃる方です(笑)。どうして笑いが起きるのでしょうか(笑)。
 実は「奥さん」という意味なのです。

 日本語にはカタカナがあるので、外来語を簡単に表現できます。とはいえ、一概に良いことだとは言えないようです。

 たとえば、「インセンティブ」。わかるでしょうか。今日の法話のために勉強したのに、私も忘れてしまいました(笑)。
 「意欲の刺激」「動機付け」というような意味があります。多くの人に買い物をしてもらおうと、寺泊の商店では「かもめスタンプ」を発行していますが、あれも「インセンティブ」と言って良いでしょう。
 次に「サスティナブル」。
 「維持」とか「継続」といった意味があります。

 さらに「デイサービス」。
 これは、このまま意味が通じるでしょう。日本語の「日帰り介護」、「通所介護」よりも浸透しているのではないでしょうか。
 最後に、「介護支援専門員」。
 (「ヘルパーさん!」と言う声あり)おしいっ!そう言う系統です。正解は「ケアマネジャー」。やはりこれも、カタカナそのままの方がしっくりくる言葉でしょう。
 このように、諸刃の剣であることが言えるわけです。


…布施…

 で、大分脱線しましたが、本題の「布施」です。そもそも、布施とは、佛様になるための修行法「六波羅蜜(ろくはらみつ)」の一つです。
 「六波羅蜜」の「波羅蜜」とは、梵語「パーラミータ」の当て字です(「アイ・ラブ・ユー」が「愛羅武勇」になるのと同じです)。意味は、「彼岸(佛様の世界)」に「到る」ための方法。ということで「到彼岸」です。それが6つあるので、「六波羅蜜」「六到彼岸」といいます。つまり、これらはどっちも同じことを示しています。さきほどの、「介護支援専門員」と「ケアマネ」が同じことだったのと、同じです。

 では、その「六つ」とは何かと簡単に申しますと、
  布施…これはあとで説明します。今日の主題です。
  持戒…決まりを守ること。
  忍辱…我慢すること。
  精進…一所懸命努力すること。
  禅定…「禅」という字があるのでわかりやすいと思いますが、心を穏やかに思惟すること。
  智慧…いろいろな教えを理解すること。
と説明できます。

 さて、「布施」です。「布施」とは、執着(しゅうじゃく)から逃れるための修行です。それは、
  財施…お金やものを施すこと。
  無畏施…安心を与えること。病院などで看護師から「大丈夫ですよ」と言われると安心しますよね。あれです。
  法施…法を説くこと。
の三つに分けることができます。ここでは、さらに「財施」について、話します。

 なければ生活できませんから、自分の大切なものであるお金を喜んで捨てることができるか、自分と向き合う機会と言ってもいいでしょう。ムリはせず、でも手は抜かず、自分の限界を知る機会なのです。
 それには、渡す方(お檀家さん)も、渡される方(お坊さん)も、そして渡す物(お金)が全て清浄でなければなりません(これを『三輪清浄』といいます)。「お経あげてもらわないと罰が当たるから」と渡す方が思ったり、「お布施が足りない!」と渡される方が思ったりしてはならないのです(笑)。

 なお、月参りだから○千円、法事だから○万円という料金ではありません。とは言え、現実的な問題として、おおよその目安があることまでは否定しませんが(汗)。


…お釈迦様のお言葉…

 涅槃経に「一闡提の輩を除きて、その余に施さば一切讃歎すべし」(正しい教えを批判するような間違った人以外へ施しをすることは褒め称えられることだ)とあり、布施のススメが述べられてます。


…日蓮聖人のお言葉…

 宗祖日蓮大聖人は、『立正安国論』で「正しい教えを信じる人を大事にするならば国中は安穏で天下泰平になるであろう」と仰っております。なぜそのようなことが言えるのか、その理由として、この部分を引用しています。


…お釈迦様のお言葉 再び(法華経『如来寿量品第十六左はPDFファイルです』より)…

 「我此土安穏 天人常充滿(我が此の土は安穏にして 天人 常に充満せり)」。これは、「お釈迦様のお住まいになっていらっしゃる世界=佛様の世界=は、心安らかにいられるところである」ということです。「彼岸」の「岸」と同じ場所です。
 佛様の世界に住むための修行法が「六波羅蜜」なのですが、それは、引っ越すということではなく、こっちに持ってくる=この世を佛様の世界にするということが大切なのです。

 最後に、ますますの御精進をお願いしまして、お彼岸の法話とさせて頂きます。長時間の聴聞、御苦労様でした。
平成20(2008)年春季彼岸会法話より
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