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遺言のススメ

…秋分の日とは…

 今日は秋分の日でお休みです。
 それは『国民の祝日に関する法律』第2条に規定されています。そこには、目的と申しましょうか、理由と申しましょうか、「どうしてこの日がお休みなのか」ということも書いてあります。例えば、「元日」は「一月一日」に「年のはじめを祝う。」とあります。
 で、今日、「秋分の日」です。「秋分日」に「祖先をうやまい、なくなった人々をしのぶ。」とあります。
 ですので、みなさんは法律に則ってお参り頂いているわけです(会場笑)。「三連休だから」と旅行に行っている人は法律違反になる、とうわけです(会場笑)。

 そんな秋のお彼岸ですが、よく言ったもので「暑さ寒さも彼岸まで」という通り、大分涼しくなりました。まぁ、ありがたい限りです。
 私は脳天気で「涼しくていいなぁ」と思いますが、新潟の人は先を見越す人が多いようで「あぁ、じっき さむぃなる(じきに寒くなる)(泣)」と(会場笑)。で、春になると「あぁ、まぁったあっちぃ夏が来るすけ大変ら(また暑い夏が来るから大変だ)(泣)」となるようで(会場笑)。なかなか興味深いなぁ、と思うわけです。
 しかし、その性質は日本海側の人だけではないようで、日本人全般に当てはまるそうです。悪く言えば悲観的ですが、良く言えば「先を見越している」ということだそうです。


…墓地…

 「先を見越している」といえば、…話が変わりますが…今 法福寺の墓地にはこのような看板が立ててあります。
墓地看板
これは、どなたのか分からないお墓の前に立てさせて頂いています。

 ありがたいことに、法福寺にお墓参りに来られる方は、無縁墓にもお参り下さる方が多いようです。ですので、お参りが全くないお墓でしたら、いっそのこと思い切ってそれを無縁墓へ合祀した方が、お参りしてもらえていいのではないか、ほとけさんもその方が喜ばれるのではないか、と考えたわけです。
 間違ってお参りのあるお墓を移転させては大変ですから、まず第1段階として、しっかり調査をしよう。となったわけです。
 もしお参りがあるようならば、誰がお参りされているか明確にすることで、「このお墓は無縁墓に積んではいけないんだな」としっかり把握をしたい。ということでございます。
 ですので、御存知でしたら どんなことでも結構ですので、ぜひ 情報をお寄せ頂きたいと思います。

 上の看板、寺報『石蕗(つわぶき)』には載せませんでしたが、ホームページには載せました。


…ホームページが繋ぐ縁…

 ホームページといえば、この間も「御首題帳下さい」とか、「芭蕉の句碑が…」という方が来られました(できごと参照下さい)。

 また、ある方から「リンクを張らせて下さい」というメールを頂きました。快諾したわけですが、昨日 新潟日報を見てびっくりしました。ナント、その人が8段抜きで紹介されているではありませんか。

 色々な御縁を頂戴しているのだなぁ、と驚く次第です。


…社会の変革…

 御縁と言うことですが、みなさんは、去年のお会式のお話、覚えていらっしゃいますでしょうか。…私はすっかり忘れてまして、今日うっかり同じ話しをするところでした(笑)。

 「信心の相続」を前回お願い致しました。その理由は次回に…ということでしたので、今日お話し致します。その理由は、「信心を持って生活していると、日々心やすく暮らせるから」です。

 みなさんの世代のお陰で、日本は物に苦労しなくなりました。戦後60余年。物が無く苦労したみなさんの努力の賜で、これだけゆたかになったのです。それは、「幸せになるため」に頑張ってきたから。が、幸せな社会になったかというと…。

 弁当箱のフタについた御飯粒を「もったいない」と取りながら、「体に悪いから」残す中年男性、という4コママンガを見たことがあります。

 日本の食料は40%を輸入に頼っています。先進国で最低の数字です。でありながら、25%は残飯にして捨てているという実態。

 食べ物を捨ててしまうのは、食べ残しとして だけではありません。古い新聞記事から引用で恐縮ですが、某食品製造工場では、一日平均約3トン御飯を炊き、そのうち50〜60kgは捨てるそうです。急な注文に対応するため余計に炊くからだとか。この後お斎を召し上がって頂くわけですが、そのために用意した御飯よりも明らかに、多い。本堂にこれだけいる人が一膳づつ食べても食べきれない量が毎日捨てられるそうです。そう思うと、「割合としては2%程度だから」とは簡単に言えないのではないでしょうか。

 さらに、製造工場だけではなく、お店でもこういった現象が見られます。
 弁当やおにぎりが常にお店に並んでいるためには10%の廃棄は必要だそうです。完売したお店は「商機を逃したお店」だそうで、常に…弁当などで10%、トータルで2%程度は…廃棄がないと、売り上げとしてはベストな状況にないとか。

 これが「幸せな世の中」なのでしょうか。

 もちろん、生活のためには「お金が大事」です。でも、その唯一の価値観だけで生活していくことが望ましいことなのでしょうか。お金主体で社会が動くから、このようなことになってしまうのではないでしょうか。


…日蓮聖人のお言葉…

『妙法尼御前御返事』
「人の寿命(いのち)は無常なり。出(い)づる気(いき)は入(い)る気(いき)を待つ事なし。風の前の露、尚譬(なおたとえ)にあらず。賢きも、はかなきも、老いたるも、若きも定め無き習ひなり。されば先(まづ)臨終の事を習ふて後(のち)に他事を習ふべし」。
(人の命は無常である。次の瞬間を生きられる保証などどこにもない。だから、まず、自分の死に際を良く考えなさい。他のことはそれからでよい。)

 臨終のことについて、色々と御紹介しましょう。


…本居宣長の遺言…

 国学者の本居宣長は、自分のお葬式からお墓まで事細かに遺言していったそうです。死に装束の生地(きじ)から葬列の順番、果てには、棺に一回かんなをかけ 裏表に美濃紙を貼れ、なんてことまで。

 ここまでいかなくても、御首題帳や行衣がどこにあるか言い残しておくと、残された人達が助かるのではないでしょうか。


…団塊世代の葬儀観…

 首都圏の団塊世代の男性に聞いた調査によると、葬儀に来てもらう人には自由な服を と思う人は35%、でも自分も好きな服を着る は14%。また、全く考えていないという人も40%。

 別の調査によると、5段階で考えた時、自分が送られるとき=自分のお葬式のとき=は、一番下でよい。だけど、自分が送るときは、真ん中くらいで、という方が一番多いそうです。


…遺言のススメ…

 残された方々が困らないよう、手紙でも口頭でもいいので、何か残しておくことをオススメいたします。

 そこで、何をどう言い残せばよいか分からないという方のために色々と用意致しました。法話の後もここに置いておきますので、よく御覧下さい。


…お釈迦様のお言葉(法華経『譬諭品第三』より)…

「今此の三界は 皆是我有なり。其の中の衆生は 悉く是れ吾が子こなり 而も今此の処は 諸の患難多し 唯我一人のみ 能く救護をなす」
(この世界は佛様に見守られている。つまり、人々は謂わば佛様の子どもである。この世はつらいことや嫌なことが多いけど、佛様は助けてくれる。)

 日々信心を持って生活し、このような準備をしておけば、何の心配もいらないわけです。

 最後に、ますますの御精進をお願いしまして、お彼岸の法話とさせて頂きます。長時間の聴聞、御苦労様でした。
平成19(2007)年秋季彼岸会法話より

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