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お子さん、お孫さんのより豊かな生活のために
あなたのお子さん、お孫さんは、「ウチのお寺は日蓮宗」と御存じですか。
お盆休みの帰省にも関わらず、お墓参りに行く人は半数弱とか。いったいなぜそうなってしまったのでしょうか。
…戦後60年を振り返って…
終戦以来、先輩諸氏(筆者は三十代です)は「今日食べるもの」に苦労し、「物やお金の豊かさが幸せにつながる」と信じて日々努力されてきたと聞きます。そして今、おかげさまでとても便利な生活ができるようになりました。なんといっても、毎日の食べ物に困らない日本にして頂けたのを、なによりも感謝しています。
ところで、「衣食足りて礼節を知る」と言いますが、果たしてそうなりましたでしょうか。新聞などの報道で殺人事件を扱わない日はありません。物質的に豊かな世の中になりましたが、幸せな世の中になったかというと…。お子さん、お孫さんの将来は、安心して暮らせる社会であり続けられるのでしょうか。
…楽観できない将来…
40歳前後のサラリーマンの平均月給は、この10年で4万円しか上昇しません。働けるのは良い方で、働きたいのに働けない人は、相変わらずたくさんいます。
以下、15〜34歳の若者についてです。失業者、短期アルバイトなどをして暮らす「フリーター」、学校にも通わず・働きもせず・働くための訓練もしない独身者「ニート」を合わせると約430万人もいます。
追い打ちをかけるように、年金も十分にもらえません。男性で43歳以下、女性で38歳以下の人は、65歳になるまで年金の支給はありません。(年齢は平成17年3月31日現在)
成果主義(「結果がすべて」という考え方)が一般的になれば、長く会社に勤めただけでは、たくさん給料はもらえません。「衣食足りても礼節知らず」の社会から、その「衣食」すら足りない社会へと変わっていくことが十分考えられるのです。
…「物」から「心」への転換を…
先ほどのサラリーマン月給の参考にした文章は、最後に次のように問うています。「人生の幸福とは何か。所得の増加か、資産の蓄積か、それとも『マネー』ではない何か──なのか。」
江戸期の近江商人、中村治兵衛の孫に残した書き置きと、ちまたをさわがせている鉄道会社の創業家の「家憲」を比較した、新聞記事がありました。そのまとめは次のようです。「中村治兵衛の書き置きには『仏神の事、常々信心に致され候て』ともあった。人の道を見失うことなく、神仏に恥じぬ行いを求める呼びかけである。人が子孫に残すべき本当の富とは何か。改めて思いをめぐらしたい。」
日を空けず、似たような訴えが新聞で繰り返されるのは、「物を豊かにしたい時代」から「心を豊かにしたい時代」への転換が求められているからではないでしょうか。そして、そのためには信仰が大切なのです。
…時代は いま お題目…
日蓮聖人は
「蔵の財よりも身の財すぐれたり。身の財より心の財第一なり。」
(お金よりも体、体よりも心だよ)と仰っております。今から700年以上も前のお言葉ですが、現代に通じるものと納得頂けることでしょう。
仏縁をいただき、私たちは日々お題目を唱え、心を大切に仏道修行に励んでいます。それにやっと社会が追いついてきたのです。今こそ、お題目の時代なのです。
…「小美」ノススメ…
物やお金の相続だけでなく信仰の相続をお願いしたいのです。信仰の生前贈与なんてすてきではありませんか。
「しつけ」という字は「身美」と書きます。字面では「体が美しい」ということになりますが、「心が美しい」という意味で「小美」と書きたい…このような文字はないのですが…ものです。人の気持ちのわかる、「小美」られたお子さん、お孫さんになりますように…。
参考文献など
毎日新聞05年2・28、3・4付
厚労省『労働経済白書』04年度版
角倉貴史『NEET人口の将来予測とマクロ経済への影響』第一生命経済研究所04・10・21
所報『佛心伝心』第3号より
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