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法華経について

 お釈迦様は多くの教えを説かれました。それは全て口頭でなされた為、弟子達は暗記して伝えてきました。後に弟子達が集まって教えをまとめ、文書としてあらわしました。これを「お経」と言います。
 お経は声に出して唱えるもの、という認識のみの方が 多いと思います。確かに唱えることは第一に大事なことですが、第二に そこに説かれている教えを学ぶことも大事なことと言えます。

 お釈迦様の教えは多くのお経として伝えられていますが、80年の御生涯で最後に説かれたのが 法華経と涅槃経です。
 この法華経において、お釈迦様の真意がはじめて説かれました。法華経の教えはインドの霊鷲山の山上で説かれ、シルクロードを通って中国を経て、日本へ伝わってきました。

 それでは法華経とはどんなお経なのでしょうか。

1.お釈迦様の全ての教えを統一してあらわしたものであり、全ての仏様を統一する本仏(釈迦牟尼仏)を説き示し、又、仏様の教えを信仰し 実践する理想的な人格者(菩薩)を明確に示し、仏教を体系的に統一する経典です。

2.この経典は28章からなっていますが、次の二つの大事な教えを中心として成り立っています。

○ 第一の教え…「すべての人は、仏になれる。」

 法華経以前のお経では、仏様が人々を救うという教えはあるが、仏になれるということはありませんでした。法華経に至り、人々は本仏(釈迦牟尼仏)の教えを信仰し実践することにより自身が仏になれる、と示されました。
 これはどのような意味をもつのかと言いますと、四苦八苦のある世界で暮らしていくに当って、その苦を軽くする為には自身が仏になる(仏の境地になる)ことしかない、仏の心にならなければ苦に対処する心ができない、ということにあります。仏にならずして、ただ救いのみをお願いしているだけでは本当の抜苦(苦しみからのがれる)にはならず、常に苦にあうこととなります。又、他に対する思いやりの心も生まれません。
 従って、この第一の教えは、法華経の教えを修めて仏となれば苦をのがれ、又、他とも仲よく暮らしてゆける、ということを示しています。

○ 第二の教え…「本仏(釈迦牟尼仏)は、始めのない過去より 終りのない未来にわたって ここに住し、いつも人々を仏にしようとされている。」

 仏教ではいろいろな仏様が説かれていますが、法華経において全ての仏様を統一する本仏としての釈迦牟尼仏が示されました。そして私達をいつも仏にしようとされているのです。このことは私達が信仰し実践することにより、本仏から仏にさせて頂くことができるということです。
 本仏の助けによりこの場で仏になることができることの意味は、大変大きいと言えます。安らぎを別の世界に求めては何もなりません。

 従って、以上の二点を常に念頭において、法華経の教えを信仰することが大事なことと言えます。そうすることによって本仏(釈迦牟尼仏)が、私達のそばに現れ、仏になる為(仏心を持つ為)の手助けをしてくださるのです。
寺報『石蕗(つわぶき)』第5号より

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